不動産の物件価格の決め方について解説します
不動産の個人間売買をする時の
物件価格はどのように決めればいいですか?
賃貸で10年ほど住んでいるマンション(1LDK)を持ち主さんから直接購入する方向で話し合いをしています。ただ、価格設定の決め方がわからず困っています。持ち主さんがマンションを購入した時の地価と、今の地価を比べると、現在の方が上昇していて、どちらを元にすれば良いのかわかりません。私は正直、安い方が助かりますが、持ち主さんとは関係を今後も良い関係でいたいので、きちんとしておきたいです。個人間売買時のマンションの値付けはどのように設定すれば良いでしょうか。また、御社にサポートをお願いした場合、持ち主さんへ価格設定の説明をしていただくことは可能でしょうか。
個人売買専門の不動産売買を行う「不動産個人間売買サポートPRO」では、このようなご相談をよくいただきます。大家さんとは顔なじみ。今までトラブルもなかった。だからこそ、「安く買えるかもしれない」「仲介手数料が浮くかもしれない」と期待する一方で、「お金の話で関係を壊したくない」という不安が、胸の奥で小さな棘のようにチクリと痛むのではないでしょうか。
不動産の個人間売買は、文字通り不動産会社を挟まずに、売主と買主が直接やり取りをする方法です。しかし、そこには「自由」と引き換えの「責任」が存在します。まずはその全体像を、プロの視点で紐解いていきましょう。
個人売買における物件価格の決め方とポイントとは?

先程のご質問のケースで最も悩まれていた「価格設定」。 「大家さんが買った時の値段より、今のほうが地価が上がっている。どちらを基準にすべきか?」 この問いに対する答えは明確で「現在の市場価格」です。詳しく説明していきましょう。
不動産売買の適正価格とは?相場・査定・評価方法について
不動産価格は、時代の移り変わりと共に価格が変動します。例えば、物件購入時と現在を比較して、周辺環境が整備されている場合は、地価も上昇する傾向があります。
具体的には、購入希望のマンションが建った当時、周辺環境は静かな住宅街だったかもしれません。しかし、物件購入以降に再開発が進み、大規模な商業施設や便利なスーパー・コンビニの出店が進み、生活の利便性が向上すれば、たとえ建物が古くなっても、土地の価値は驚くほど跳ね上がることがあります。
また、鉄道の開通など、交通機関の充実化は物件価格に大きな影響を与えますので、以前の相場価格よりも高値がついているケースが多いです。時代の移ろいと共に相場は変動していますので、必ず現時点での価格を確認する必要があります。
不動産の価格設定は過去の地価は基準にしません。すなわち個人売買の場面においては、お取引対象となる物件のオーナー様がご購入された時の価格は反映されず、現在の相場が基準になることを覚えておきましょう。
最新の不動産相場の調べ方について

個人間売買の取引に向けて最新の相場価格を調べるにはどのようにすれば良いのでしょうか。 実は「正確」な価格はWEBで調べても出てきません。もし、似たような物件が見つかり、情報を掴めた場合でも、それは最近の事例ではない可能性があります。先ほどもご紹介しましたとおり、物件価格はその建物や部屋だけにフォーカスして値付けるわけではなく、立地する場所の利便性や開発状況によって大きく変動します。
また、売却中の部屋によっては瑕疵物件である場合があり、このようなケースでは物件価格が市場よりも安めで売りに出されている場合もあります。瑕疵物件とは、いわゆる訳あり物件です。室内で事件事故、亡くなられた方が見つかった場合、その他建物等に何らかの欠陥がある物件を総じて瑕疵物件と言います。このような物件は、必ず情報を開示することが義務づけられていますので、不動産業者であれば事前に有無を確かめられます。
自分で相場を調べた場合と不動産業者が調査した場合の比較
マンションの場合

マンションの場合は、マンション名を検索してみると大凡の価格が分かる場合があります。 例えば、現時点で同じマンションの中の別の部屋が売りに出されていたとしたら、参考資料の一つになります。ただし、マンションも部屋が位置する階や向きによって価格は変動しますので、物件情報を見つけられたからといって、そのままご自身のケースにも当てはまるということではありません。
しかし、不動産業者が調査すれば「○年○月○日・△階□平米の部屋が、いくらで売れたのか」という事例を取り寄せることができます。個人売買を行う時の価格設定は、この過去の事例を基に算出していくと良いでしょう。
たとえば過去の事例と取引をしたい物件の広さが異なる場合は、この過去の事例をもとに相応しい価格となるように、プロの視点で調整する必要があります。従って、正確な価格を知りたければ不動産仲介業者に査定を依頼することをお勧めいたします。ただし、仲介業者はあくまで仲介で売却をしたいお客様向けのサービスとして、物件価格の査定を行っています。
そのため、個人間売買のために査定を依頼することは避けるようにしましょう。当社のような個人間売買を専門に活動されていて、且つお申し込みの意志がある場合に限りご相談くださいませ。
一戸建て物件の場合

一戸建て住宅の相場調査は、マンションと比較して難易度が非常に高いです。なぜなら、一戸建ての場合その立地が一本道を入っただけでも、価格が大きく変動するケースが多いからです。
不動産の価格=建物の価格ではなく、立地も含めた価格です。そのため、道を一本入っただけでも不動産業者の視点では評価が変わってきます。たとえば同じ駅から10分の建物でも、建物が位置している方角や周辺環境の優位性、坂の有無、騒音など総合的な判断を行い、価格設定を行なっています。
もちろん、建物の評価に関しても物件一つ一つによって異なる判断をしています。
例えば築年数が1年変わるだけでも、私たち不動産業者は評価額が変わります。それは建築後の年数が理由だけではなく、その時々の建築基準法と照らし合わせて作られていますので業者の判断としては、どのタイミングで建てられた住宅かということも評価のひとつとなります。
このように、一戸建ての物件の査定は見るポイントが多数あるため、個人間売買をご希望されるご本人様同士では判断が難しいというのが私たちの意見です。
土地売買価格や建物価格の決定要素と影響するその他の条件とは?
価格を決めるのは「広さ」や「築年数」だけではありません。私たち不動産業者は査定時、まるで探偵のように現場を観察します。
- 朝と夜で、騒音のレベルはどう変わるか?
- エントランスの管理状況は?
- 窓から見える景色に、将来視界を遮る建物が建つ計画はないか?
一戸建てならなおさらです。一本道を入っただけで、日当たりや接道条件が変わり、評価額が数百万単位で変わることも珍しくありません。そのため、Web上の簡易査定では、この「肌感覚の価値」までは算出できないのです。
もし、これらの要素を無視して不動産取引を進めてしまうと、物件の引渡し後に「こんな環境だとは聞いていなかった」「話が違う」といった揉め事へと発展するリスクがあります。したがって、相場だけを注視して価格設定することは危険であり、周辺環境・管理状況など、総合的な視点で調査を行い、最終的な価格を決めることが非常に重要です。
これらについては、残念ながら不動産を専門とする経験豊富な業者ではない限り、注視することは困難です。そのため、仲介手数料が発生する負担はありますが、安心・安全に取引を進めたいなら個人売買に理解のある不動産仲介業者に相談されることが賢明と言えるでしょう。
物件の持ち主が知り合いの場合、
相場よりも安く取引しても問題はありませんか?

「長年住んでくれたから安くするよ」「知り合い同士の取引だから、相場よりも安くて構わない」
その優しさは美しいものですが、法律の目から見ると危険信号です。相場よりも著しく低い価格(低廉譲渡)で売買を行うと、その差額が「贈与」とみなされ、買主様に思わぬ「贈与税」が課される可能性があります。
「安く買ったつもりが、税金で高くついた」
そんな皮肉な結末を避けるためにも、客観的なデータに基づいた価格設定が必要不可欠なのです。
不動産の個人売買で注意したい「贈与税」への影響とは?
賃貸で借りていた物件の持ち主様がお知り合いの場合、多少を価格を考慮していただける場合はあります。けれども、相場よりも著しく低い安い価格を設定してしまうとその取引は「贈与」とみなされ、後に贈与税を納めなければいけない可能性があります。
贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。会社など法人から財産をもらったときは贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。
引用元:国税庁「No.4402?贈与税がかかる場合」
上記のとおり、持ち主が個人の場合・法人の場合共に税金が発生する可能性がありますので、物件の値付けにはくれぐれも注意しましょう。
物件価格を設定する際、一番安全な方法は不動産仲介業者に査定を依頼することです。ただし、個人間売買を歓迎する仲介業者は非常に限られていますので、私どものような個人間売買を専門に活動する組織のある業者に依頼することをお勧めいたします。
個人間取引ならではの価格交渉・調整方法について

不動産の個人売買では、売主・買主同士で価格を決めていく過程が難所のひとつだと言えるでしょう。お互いの顔が見えすぎるからこそ、お金の話はしにくいものです。「もう少し安くして」と言えば、これまでの良好な関係にヒビが入るかもしれない。そう思うと、言い出せませんよね。
だからこそ、第三者である私たち不動産業者の介入が効果を発揮します。「不動産市場のデータによると、この辺りの相場はこれくらいらしいです」と、客観的な事実を挟むことで、感情的な対立を避け、建設的な話し合いが可能になります。
物件の持ち主へ物件価格の説明をしていただくことは可能でしょうか?

当社の不動産個人間売買サポートをご利用いただければ、価格設定サポートも行います。また、その際に持主様へ過去の取引価格の説明をご希望される場合は、簡単な事例報告として情報共有させていただきます。
なお、売主買主様間のお取引価格の交渉などは当社のサポートには含まれておりません。当社の個人間売買サポートは、事前にご本人様同士で売買取引の意向がお有りの場合に限ります。予めご了承くださいませ。
価格設定や書類作成、住宅ローン申請サポートをはじめとした個人間売買のお取引に関して、ご不明点などございましたら、いつでもお気軽にご相談下さい。
不動産の直接取引は、これまで行なったことが無い方がほとんどです。分からないことがあるのは当然ですので、どのような内容につきましても、ご遠慮なくお問い合わせくださいませ。個人売買の経験豊富な当社なら、きっとお役に立つと思います。
円満に個人売買を行いたいなら不動産業者へご相談を

不動産の個人間売買は、単なる「手続き」ではありません。それは、長年住み慣れたお部屋への「愛着」を、法的な「所有」という形に変える、人生の大きな節目です。物件所有者様とあなたの間にこれまで築かれてきた信頼関係。それを、お金や契約の認識違いで壊してしまうことほど、悲しいことはありません。
「安く買うこと」も大切ですが、もっと大切なのは「取引が終わった後も、笑顔で挨拶ができる関係」を守ることではないでしょうか。
私たち「不動産個人間売買サポートPRO」が提供するのは、単なる取引代行ではありません。「言いにくいお金の話」や「複雑な法律の壁」を、プロというクッションを挟むことで柔らかく解消し、あなたと持主様の絆を守るサービスです。
- 今の提示価格は本当に適正なのか?
- 契約書に自分に不利な条項はないか?
- このまま進めて後悔しないか?
もし、心のどこかに少しでも迷いがあるのなら、それは「一度立ち止まって、プロに聞くべきタイミング」の合図です。私たちに、あなたの「納得」と「安心」を作るお手伝いをさせてください。 まずは、今抱えているその不安を、ぜひ無料相談へお寄せください。心の内をそのままお話しいただくことから始めていきましょう。



