なぜ銀行は不動産の個人間売買時に重要事項説明書を求めるのか?

不動産の個人間売買における相談のために銀行に出向くと、ほぼ必ずと言っていいほど「重要事項説明書」の提示を求められます。

そのため、不動産屋が取引の間に入っていなければそもそも取り扱ってもらえない、なんてことも珍しくはありません。

ではなぜ、銀行は不動産の個人間売買時に重要事項説明書を求めるのでしょうか。

今回はその理由について、わかりやすくまとめてみました。

不動産個人間売買サポートPRO・コラム担当:織瀬ゆり

娘と息子を子育て中のママライター。某信託銀行を退職後、個人事業主(フリーライター)として独立。在籍時代は主に、住宅ローン業務のほか融資関係ならびに単元未満株式をはじめとした株式事務を中心とする業務に従事。AFPや宅建士をはじめとして複数の資格を取得しており、初心者でもわかりやすい記事執筆を心がけています。

そもそも重要事項説明書とは

宅地建物取引業法では、賃貸契約や売買契約を締結するまでの間に、不動産会社は取引の相手方に対して当該物件に関する重要事項の説明をすることが義務付けられています。

重要事項説明書は不動産の売買契約や賃貸借契約を締結する前、つまり契約前の時点で、宅地建物取引士が記名押印し、相手方に交付する書面のことを指します。

なお、重要事項説明書をもとに、宅地建物取引士は口頭で相手方に対して説明を行わなければなりません。このことを重要事項説明(以下、重説)といいます。

重要事項説明書には大きく分けて以下の2点が記載されています。

それぞれの事項について、事前に確認していた情報と相違がないかどうか、その他気になることはないかなど、しっかり確認しながら聞くことが大切です。

重説を聞き終えるまでにそれなりに時間を要することから、途中で飽きてしまったり、聞くのが嫌になったりするかもしれません。

ですが、不動産の取引において外すことのできない重要なポイントが多々含まれていることから、要点を押さえつつしっかりと聞くようにしましょう。

銀行が重要事項説明書を求める理由

個人間売買の相談をしに銀行へ出向いた際、ほぼ必ずと言っていいほど銀行はあなたに対して「重要事項説明書」の提示を求めるでしょう。

なぜ、銀行はローン申請において重要事項説明書を要求するのでしょうか。

誤解している方も多いかもしれませんが、一般的に不動産は個人間でも有効に売買契約を締結することが可能です。

とはいえ、個人間売買においては素人同士の取引であることから様々なトラブルが生じやすく、あまりいい方法とはいえません。

そのため、多くの方が住宅ローンを提供してもらうために銀行へ足を運びます。

銀行側からすれば、あなたが売買する予定としている土地や建物は基本的に全く知らないものです。

そこで、銀行側が土地や建物の現況を知るために必要な事項がすべて記載されているのが、「重要事項説明書」ということになります。

重要事項説明書には登記簿に記載された事項はもちろんのこと、法令に基づく制限やガスや電気、道路を始めとしたインフラの整備状況。そして宅地造成または建築構造など、建物の形状や構造が詳しく記載されています。

また、契約の解除条件や金銭の取り決めなど、契約後のトラブルになりやすいお金に関する事項も含まれています。

重要事項説明書を元にローン審査の手続きをしているといっても過言ではないほど、当該説明書は銀行にとって非常に大切な書類となるのです。

よって、銀行側は重要事項説明書の提示がない個人間売買を扱うことを嫌がるといえますね。

なぜ不動産業者だけが重要事項説明書を作成できるのか

宅地建物取引業法により、重要事項説明書は業者免許を持つ「宅地建物取引業(以下、宅建業)」の従事者が作成してこそ意味があると規定されています。

ここでいう宅建業とは

を業として行う者のことを指し、当然不動産業者もここに含まれています。

不動産業者を始めとした宅建業に該当する業者は、業者免許を取得するにあたって法務局に約一千万円の供託金を預託しています。

想定外のトラブルが起きて、宅建業者が代金を支払えない事態に陥ってしまった場合でも、この預託しておいた供託金の中から弁済金を支払うことができます。

それだけ、不動産を扱うというのは非常に責任が大きいことであり、その中で「重要事項説明書」の説明及び交付が求められることから、重要事項説明書を扱えるのは宅建業者だけに限られています。

重要事項説明書は宅地建物取引士が作成および説明を行う

重要事項説明書は宅建業に該当しないと扱えないと先に述べましたが、この重要事項説明書を実際に作成し、取引の相手方に対して説明するためには「宅地建物取引士(以下、宅建士)」という有資格者でなければいけないとされています。

宅建士は不動産会社に5人に1人以上の割合で雇わなければならないと決まっており、不動産会社には多数の宅建士が在籍していることになります。

そのため、個人間売買においてローンを組むためには重要事項説明書を持参しなければならず、その説明を受けるためには宅建士が必要で、その宅建士は不動産会社に在籍しているとなれば、銀行側としても「まずは不動産業者を通してください」と言うでしょう。

個人間売買で手間と時間がかかって面倒だと感じるかもしれませんが、不動産という金額の大きなものを扱う取引だからこそ、しかるべき手順をきちんと踏むことが大切です。

順序を守ることは、万が一の際のトラブルからあなた自身の身を守ることにもつながります。

関連記事