不動産の個人間売買だと住宅ローンが通らない?銀行は何を懸念している?

不動産の個人間売買をするために銀行へ相談をしに行ったにも関わらず、なぜか断わられてしまって困っているというケースは、決して珍しいことではありません。

いったいどのような場合に、銀行は個人間売買における住宅ローンの提供をしぶるのでしょうか。

今回は銀行が懸念している事柄に加え、どうやったら住宅ローンが使えるようになるのかも併せてわかりやすくまとめてみました。

不動産個人間売買サポートPRO・コラム担当:織瀬ゆり

娘と息子を子育て中のママライター。某信託銀行を退職後、個人事業主(フリーライター)として独立。在籍時代は主に、住宅ローン業務のほか融資関係ならびに単元未満株式をはじめとした株式事務を中心とする業務に従事。AFPや宅建士をはじめとして複数の資格を取得しており、初心者でもわかりやすい記事執筆を心がけています。

銀行はなぜ個人間売買の取引をしたがらないのか

個人間売買において、銀行が住宅ローン提供を嫌がる主な理由は以下の2つです。

  • 取引の実態が見えづらい
  • 重要事項説明書などの判断材料がない

それぞれ見ていきましょう。

取引の実態が見えづらい

住宅ローン審査が認められない大きな理由として、銀行側が取引自体の正当性を判断しにくいことが挙げられます。

どういうことかというと、不動産の売買をする上で一般的には間に仲介業者が入りますが、個人間売買では性質上仲介業者を介しません。

つまり、銀行側からしたら誰と誰がどのような目的で取引をし、その対象となる物件はどのような物件なのか、実態が見えにくいですよね。

そのため、個人間売買における住宅ローンの提供を嫌がる銀行が多いといえます。

また仮に個人間売買を扱っている銀行が見つかったとしても、一般的な住宅ローンと比較して条件が悪かったり、金利が高かったりすることがほとんどでしょう。

重要事項説明書などの判断材料がない

そもそも住宅ローンというのは、取引の対象となる物件を担保として購入金額の一部や全額を貸し出す仕組みのことをいいます。

そのため、お金を貸し出す銀行側からすると担保の対象となる物件の情報はきちんと把握しておきたいですよね。

多くの銀行では、ローン審査において物件の概要を把握する際に「重要事項説明書」という書類を判断材料として使用します。

重要事項説明書の詳細は別稿でお伝えしますが、この書類には売買の対象となる不動産の調査結果や瑕疵、インフラの整備状況など知っておくべき情報がすべて載っています。

そして、重要事項説明書は不動産業者を間に挟まないと基本的には手に入れることができないため、個人間売買では手元に用意されていないケースがほとんどです。

よって、銀行は判断材料がない個人間売買に対し、住宅ローンの提供を嫌がるといえるでしょう。

なお、銀行が重要事項説明を求める理由については「なぜ銀行は不動産の個人間売買時に重要事項説明書を求めるのか?」でも詳しく解説しています。是非あわせてご覧ください。

どうすれば住宅ローンを利用することができるのか

住宅ローンを利用する上で一番大切なことはずばり、不動産業者が作成した「重要事項説明書」を手元に用意することです。

銀行は何よりもリスクを恐れているため、リスクは限りなく低いものだとわかってもらうことが重要となってきます。

そのため、個人間売買においてはまず銀行へ住宅ローンの相談に出向く前に、不動産屋へ重要事項説明書の作成を依頼するようにしましょう。

個人間売買であれば、当然ながら買主・売主に加え、売買代金も決まっているので、重要事項説明書の作成は至って簡単なものになります。

よって、低価格で作成してくれる不動産屋さんを見つけることができれば、仲介手数料の節約にも繋がるでしょう。

審査に落ちてしまっても再申請することはできる?

結論から言えば、住宅ローンにいちど落ちてしまっても再申請をすることは可能です。

審査に落ちてしまった原因さえ、改善することができれば基本的に審査に通ることができるでしょう。

とはいえ、住宅ローンに落ちてから期間を置かずにすぐ同じ銀行に申請を行ったり、その銀行との間でトラブルを起こしたりしたことがある場合には、申込み時点で断わられてしまうでしょう。

その場合には、他の銀行へ住宅ローンの申請を依頼することをおすすめします。

再審査までに必要な期間について

いちど住宅ローン審査に落ちてしまった場合、再度申請するまでにどれぐらいの期間を開けたらいいのか気になるひとも多いですよね。

期間については再審査の申込先によって、異なります。

住宅ローン審査に落ちた銀行に再度申し込みたいと考えている場合、先程も述べたように審査落ちの理由を解消してから申し込むことが大切です。

審査落ちの理由が解決されないまま申請したところで、結果が同じになることは言うまでもありません。

また、審査落ちの銀行とは別の銀行へ再審査を申し込む場合には、審査に落ちた後すぐに申し込んでもまったく問題ないでしょう。

とはいえ、審査落ちの原因が解消されていない場合には、こちらも同じ理由で落とされてしまう可能性があります。

しかし、銀行が違えば当然判定基準も異なることから、場合によっては通ることもあるでしょう。

そのため、金利が低い住宅ローン審査で落ちた場合には、少し金利の高い別の銀行に審査を申し込むなど、状況に応じて判断するようにしてください。

再審査でチェックされる項目について

住宅ローンの再審査では、初回の審査と審査内容や方法で異なる点は特にありません。

どの銀行でも初回と同じ手順、同じ基準で再審査を行っています。

そのため、再三のお伝えとはなりますが、審査落ちの理由を解消することが通過する上で欠かせないということになります。

まとめ

今回は不動産の個人間売買で住宅ローンが通りにくい理由と、その対策等についてお伝えしました。

この記事がすこしでも、参考になっていたら幸いです。